さかなと森の観察園パンフより 独立行政法人水産総合研究センター 中央水産研究所 日光庁舎
周辺環境と研究内容
明治の始め、地元の有志がイワナやコイを放流するまで、華厳の滝より上流の水域には魚は棲んでいなかったと言われています。その後、国がいろは坂の下の深沢というところにふ化場を建て、マス類のふ化増殖が始まりました。そして明治23年、このふ化場が現在地(菖蒲ケ浜)に移設されたことが当施設の起源となっています。
当施設は標高1,280mの高地に位置し、約12万uの広大な敷地には樹齢300年を超えるミズナラやウラジロモミの天然林が茂り、当所の所有する地獄沢水源からは水温9℃、水素イオン濃度6.8と周年安定した豊富な湧水が引かれています。また、当施設の周囲には中禅寺湖をはじめとする湖や河川が数多く存在しており、冷水性魚類の研究を推進するには大変恵まれた環境にあります。
この研究環境を活かして、当施設では早くからサケ科魚類の増・養殖に関する試験研究が行われてきました。現在わが国のサケ科魚類の中心的な研究機関として、魚の品質改良や天然水域における自然増殖力の向上等、生態系の保全にも配慮した増・養殖手法の開発を目的に、遺伝子解析など最先端の実験技術を駆使した研究が進められています。 |