■説明板・・・
●栃木県指定有形文化財彫刻 昭和29年9月7日指定 青銅造 不動明王坐像
大日如来が一切の邪悪を調伏(ちょうぶく)するために、内に慈悲の誓願(せいがん)を秘めつつ、外に忿怒(ふんぬ)の姿を現し、右手に煩悩を断つ宝剣、左手に魔を縛(ばく)す羂索(けんさく)を持ち、悪を降し(くだし)、衆生(しゅじょう)を守るという不動明王は、氏家でも古くから信仰を集めてきた。
享保8年(1723)の五十里洪水や大火など相次ぐ災難に、氏家宿の安穏を願った光明寺12世広栄(こうい)上人は、不動明王の造立を決意し、宿挙げての協力により、宝暦(ほうれき)9年(1759)宇都宮の名工戸室卯兵衛(とむろうへえ)によって鋳造されたのが本像である。高さ293.9cm(火炎光背を含まず)、肩幅142.4cm、膝張221.1cmと希に見る巨大な本像は、各部ごとに鋳造されたものを様々に技法で接合して一体とした。矜羯羅童子(こんがらどうじ)、制多迦童子(せいたかどうじ)を脇侍に配して岩の上に座す本像は、町のシンボルとして町民に親しまれながら、氏家の町を見守っている。なお、本像を鋳造する際に木型として使用した原型は、木像不動明王座像(県指定有形文化財)として町内に保存されており、鋳造史を考える上で貴重な資料となっている。
栃木県教育委員会・氏家町教育委員会 |