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鹿沼の地名 23

「鹿沼の地名」著者 菊池三郎 昭和58年9月 

●かぬまの地名  その23
地名は土地に刻まれた歴史であり、人類が生活の必要からある地点に名付けられたものであります。地名には古くから伝えられているもの、昨今のように地域の合併によってあたらしくなったもの、住居表示の実施によって変わったものがありますが、これによって今までの地名となんら関係のないものが表示されて、歴史的意味をもった地名が消えてなくなることは非常に残念なことと思います。

鹿沼という沼の名が、宿駅の発展によって鹿沼宿となり、明治二十二年の町村制施行によって一宿三ケ村にて鹿沼町となりました。その後、昭和二十三年に市制が施行、さらに昭和二十九年、三十年の合併によって、その区域が拡大されたのが今日の鹿沼市であります。
三幸町 下材木町 下田町1丁目

地名とみなさんの姓(氏)との関係は誠に深いものがあり、多くの姓はいずれかの土地の地名によるものです。地方でも旧家には屋号というものがあり、これはその土地の小字名と同一のものが多いようです。地名には自然に発生した地形などによって山、峰、谷、沢、森、林、台、平、岡、久保、渕などがあり、農耕生活の進むにつれて鹿野、高野、荒針などの地名も見られます。社寺や信仰によって国分寺、総社、日吉、金山なども地名となった例です。
●このほかに服部、刑部、倭文など古い職名が残されたものもあります。天保五年(1834)の下野国郷帳による村数は1365ケ村で、明治二十二年の町村制施行によって1257の町村(現在の大字)は171町村となり、さらに昭和の合併によって、わが栃木県は47市町村となりました。
下田町2丁目 下横町 末広町

数年前、栃木県47市町村を訪ね調べましたところ、大字名で1250、小字名55,543で大字、小字名も収録しました。しかし、一部の市町村については、資料不足もあったので、数字には若干の相違があると思います。鹿沼市編纂の資料として、鹿沼市全域の大字名、小字名などを調べましたところ、その数は3400におよびました。昭和三十五年に「鹿沼地名集」と題して関係の方々に配布し、さらに、昭和五十二年鹿沼史林第十六号に「新編鹿沼地名考」を執筆しました。
寺町 中田町 戸張町

「鹿沼の地名」は鹿沼市農業協同組合発行の「農協かぬま」に昭和五十六年十月(142号)より昭和五十八年八月(164号)まで掲載したものをここに収録した。
昭和五十八年九月 編集
著者  菊池三郎