●下沢、乳母が懐
沢の地名は山間部に多く、ここ下沢の名も沢によって名付けられたものです。乳母が懐は、山すその日当りのよい暖かい場所が地名となったものでしょう。
●深岩、山ノ神
深岩の深は草深い所の意味で、深岩の地名はここの岩山につけられたものです。山ノ神は、この神をまつってあるところが地名となったのです。山ノ神は山仕事をする人々によって、その信仰がつづけられています。山ノ神は春になると山からおりて田の神となり、秋には山に帰って山ノ神となります。山ノ神は、安産の神として信仰している地方もあります。
●笹原田、西挟間
笹原田は笹原が付近にあったのでしょう。その田を呼んだものでしょう。古くは篠原田とも書いたようです。挟間(はざま)は谷や丘に挟まれたところで、西鹿沼に迫間の地名があります。
●引田
更(フケ)は湿地のことで、更田が引田と呼ばれたものでしょう。また、谷間より流れる水を引き込んだので、冷え田が引田と訛り伝えられたのかともいいます。
●大仁田、墨仁田
仁田はヤタ。ヌタ、ムタと同じ意味で、水の浸み出したじめじめしたところです。黒仁田はクロの小高い所で、草久にも大仁田、小仁田、黒仁田があり、下久我の大仁田の地名があります。
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引田 天王橋上流 |
引田 大仁田橋上流 |
引田 稲山橋を上流から撮影 |
●鍛冶内、芋ノ久保
引田地内では近年まで鉱石の採掘が行われ、銅鉱、亜鉛鉱、硫化鉄鉱などが産出されました。鍛冶内は鍛冶屋敷がかつてあった跡と思われます。芋ノ久保は鋳物久保のことで、鋳物師に関係のあったところと考えられます。地名から推して、鉄鉱石の精錬などが行われたものではないでしょうか。
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