栗山村は、県の北西部に広がる、面積427平方km、人口2,000人余りの村です。県内の市町村の中では、一番の広さであり、人口は一番少なく、県内に残る2つの村の内の1つです。
村の中には、湯西川温泉、川俣温泉、奥鬼怒温泉などの湯量の豊富な温泉があります。湯西川温泉は、第3セクターの鉄道、会津鬼怒川線の「湯西川温泉駅」からバスで30分位の所にあります。途中、人家も疎らな山中を行きますので、湯西川温泉に着くと立派な旅館が多いのに驚かされます。
湯西川温泉には、平家の落人伝説があります。平家物語には平貞能と言う東国に落ちた人の記述がありますが、この人は茨城県から宮城県にかけての方面だったようです。湯西川の落人が誰だったのか、どうも良く分からないのですが、源氏の追及から逃れるため、鶏を飼わないとか、端午の節句には鯉のぼりを上げないと言うような言い伝えが残されています。
湯西川温泉の名物料理が、囲炉裏端で食べるお狩り場焼き(旅館によって呼び方が違うかも知れません。)です。注文すると、山椒魚も出してくれると思います。10cm程度の山椒魚を陰干ししたものですが、姿はそのまま残っています。これを火に炙って食べるものです。僕もかつて食べた事がありますが、苦くて美味しいものだとは思いませんでした。もちろん、天然記念物であるオオサンショウウオとは関係ありません。
奥鬼怒温泉郷は、八丁の湯、加仁湯、手白沢温泉、日光沢温泉のそれぞれ一軒宿の温泉があります。バスで行ける女夫渕温泉から、更に1時間以上川筋を歩かなければなりません。僕が30年以上前に行った時は、電気も自家発電だけのランプを使用した、本当に秘湯の感じでした。
この稿を書くにあたって調べてみたら、凄く立派な旅館になっていました。また、泊まり客には、バスの送迎もあるようです。この地域を通る林道の建設が、自然保護か開発かの大きな論争になりました。結局、林道は建設されたのですが、通行できるのは、特定の車両だけと言う事になって今になっているようです。年配の方はバスで、元気な人は徒歩で温泉を楽しむ事ができるようになって、それはそれで良かったと思っています。