栃木市は県の南に位置する、人口83,000人余りの市です。 街の中を巴波川(うずまがわ)が流れ、江戸時代にはこの川を利用した、船運によって栄えた商業都市でした。このため、当時の蔵が多く残っていて、今は「蔵の街」をキャッチフレーズにして、街の振興を図っています。蔵の街音楽祭を開催したり、最近では、蔵の街美術館なども作られました。
栃木県の南部は、小山から群馬県の高崎まで両毛線と言うJR線が通っています。この両毛線の沿線に、東から小山市、栃木市、佐野市、足利市の4市が並んでいます。この4市、栃木市と足利市が古くから栄えた街であるのに対して、小山市と佐野市が新興都市と言う感じです。栃木市と足利市には歴史があり、小山市と佐野市には勢いがあると言う感じでしょうか。この栃木市には、8世紀頃、下野の国の国庁が置かれていました。
現在の市の中心部からは、東側に8kmほど離れていますが、遺跡の発掘も行われ、国庁の建物の一部も復元されています。この遺跡の近くにある国府南小学校の建物も、古代建築を連想させるような設計で建設されています。今の栃木県は明治6年に宇都宮県と栃木県が合併してできたものです。当初、栃木市に県庁が置かれていたのですが、明治17年に今の宇都宮市に移転されました。
明治6年からの10年余りの間、県庁があった場所に栃木町の庁舎が建てられ、今も残っています。現在も市役所の別館になっています。その周囲に堀があり、「県庁堀」と呼ばれて、鯉が泳ぎ、観光ポイントの一つになっています。古代と近代と、行政府が置かれていたと言うのは、やはり栃木市が栃木県の中心であったことの現れかなと思っています。蛇足ながら、女優の山口智子さんは、栃木市の出身で、実家は市の中心部で大きなホテルを営業しています。そのホテルのロビーの一角に、山口さんのコーナーもあります。