塩原町は県の北部にある、人口9,000人弱の町でした。今年の1月1日から、黒磯市、西那須野町と合併して那須塩原市となりました。


旧塩原町は、全国的にも有名な塩原温泉のある町として有名でした。産業としては、やはり旅館などの観光産業が一番ですが、温泉街を下って、東北自動車道の西那須野IC近くには、工業団地も造成されています。塩原温泉は、平安時代の大同年間(806年)に、如葛仙という人によって発見されたと言われています。現在では、箒川沿いに下流から、大網、福渡、塩釜、塩の湯、畑下(はたおり)、門前、古町、中塩原、上塩原、新湯、元湯と11湯の温泉があり、旅館・ホテルなど90軒があり、年間340万人の観光客、120万人の宿泊客を数えています。
しかし、何よりも塩原温泉が有名になったのは、尾崎紅葉がこの塩原温泉で、「金色夜叉」を書いた事によると思います。尾崎紅葉の外、江戸末期の剣豪山岡鉄舟がこの温泉を好んで何度か来訪しています。また、与謝野鉄幹・晶子夫妻が来訪し、2日間で90首余りの歌を詠んだと言う事です。牡丹で有名な妙雲寺には、夏目漱石も訪れたとのことで、漱石の詩が碑になっています。
また、若い頃の谷崎潤一郎も滞在し、その後有名になってから再訪した時には、滞在した時にお世話になった人が存命だったと言うような話もあります。東京大学の学生であった斎藤茂吉も訪れ、歌を詠んでいます。
この外、徳富盧花、国木田独歩、長塚節、幸田露伴、北原白秋、高浜虚子、野口雨情、島崎藤村、佐々木信網、田山花袋、竹久夢二、高村光太郎、室生犀里、会津八一などそのまま日本の文学史になってしまうような有名な文人が訪れています。
更に、作家で漱石の弟子であった、森田草平と女性解放運動の平塚雷鳥は、塩原温泉から会津西街道へ出る尾頭峠(今はトンネルができています)で心中未遂事件と起こしています。この時の体験を元に、「煤煙」を書いたそうなのですが、僕はまだ読んでいません。
最近、塩原の温泉街では、スープ入り焼きそばが有名になっています。B級グルメの僕としては、見過ごす訳にはいきません。塩原に行った時に食べてみたことがあります。一見すると、ラーメンのようなのですが、味は紛れもなく焼きそばです。何となく不思議な感じのまま食べ終わりました。 でも、美味しいと思いました。
栃木県紹介          加瀬耕三(ペンネーム)
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